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視神経脊髄炎(NMO)と多発性硬化症(MS)の共通点と相違点

NMOとMSの共通点

中枢神経の自己免疫疾患

まず多発性硬化症と視神経脊髄炎がどう違うか、どう似ているのか、簡単に説明します。いずれも中枢神経の免疫異常で起きる病気、自己免疫疾患である点が共通です。

中枢神経というのは、脳と、脳の下に長い鉛筆くらいの太さで腰のあたりまでぶら下がっている脊髄、それに視神経の3つから成り立っています。
視神経は細い紐のように脳と目の玉の後ろを繋いでいる突起です。細い紐みたいで末梢神経に似ていますが、視神経は例外でして、中枢神経です。

一方、体中に末梢神経がはりめぐらされていて、例えば顔面神経など、脳の命令で筋肉を動かしたり、皮膚の感覚を脳に伝えるために繋がっていて末梢神経と言い、中枢神経と区別されます。

もう一つ共通しているのは、どちらも免疫の異常で起きる自己免疫疾患である点です。 免疫というのは、通常、細菌やウイルスが自分の身体に侵入してきた時、異物と認識して、破壊して体を守る仕組みです。全ての生き物が免疫機序を持っています。

自己免疫というのは、自分自身の身体の一部分を異物、即ち、外界からはいってきた攻撃すべき対象、自分の身体の一部分ではない物体と間違って認識してしまう。
そういうことが起きますと、自分を守るはずの免疫が自分の身体の一部分に対して、異物であると誤認して攻撃するようになる。
そうした異常な免疫の状態であり、自己免疫疾患が引き起こされるわけです。

自己免疫はいろんな細胞に対して起きます。関節の滑膜細胞を攻撃するようになり起きるのが関節リウマチ、 膵臓のインシュリンを作る細胞に対して起きますと1型糖尿病、男性の精子に対してそういうことが起きますと男性不妊症。 甲状腺に起きますと、甲状腺炎、甲状腺機能亢進症あるいは低下症などが起きます。ほとんどあらゆる臓器の細胞にこういうことが起きるんです。

NMOとMSの相違点

違いは攻撃の標的細胞

脳などの中枢神経に対してそういうことが起きて生じる病気は多発性硬化症のみだと、かつては思われていました。
ところが最近になって、視神経脊髄炎という別のモノがあると解ってきて、その違いがだんだんはっきりしてきたのです。

両者の根本的な違いは、攻撃される中枢神経の細胞が異なる、攻撃の標的となる細胞の分子が異なる点です。


多発性硬化症の攻撃対象:オリゴデンドログリア

即ち、多発性硬化症で攻撃されるのはオリゴデンドログリア(乏突起神経膠細胞)とそれが作る「髄鞘」膜構造で、その構造タンパクが標的です。

一方、視神経脊髄炎で攻撃されるのはアストログリア(星状神経膠細胞)であり、その細胞膜のアクアポリン4という水チャンネル分子が主な標的です。

多発性硬化症で攻撃される髄鞘は英語でミエリンとよばれ、細長い神経繊維の周りを何重にも囲む膜構造です。

神経細胞はコンピューターの中のチップみたいなモノでして、本体の細胞があり、そこから長い突起を出して、次のチップに接触し情報を伝える。
神経細胞の突起は軸索とよばれ、電線のなかの銅線みたいなもので、電気の流れを伝えることでネットワークを作っています。

人間の脳の中は長短さまざまな長さの神経繊維が非常に複雑なネットワークを作っていて、コンピューターの様に情報処理をしています。
ボールを蹴ろうとか歩こうとかいろんな命令を脳から出して脊髄に伝え、さらに末梢の運動神経に伝え、筋肉を興奮させてボールを蹴ることができます。
その中心になるのが神経細胞とその突起の軸索です。

髄鞘・ミエリンは神経細胞の突起の軸索が電気の命令を正確に早く伝えることを可能にする構造です。 命令の電気活動が途中で漏電したり、あるいは途中で電気信号がだんだんだんだん弱くなって遠くまで伝えられないということが起きないように、 電線のビニール被膜と同じように神経軸索を何重にも取り巻いています。

この髄鞘・ミエリンを作り維持しているのがオリゴデンドログリアです。 オリゴというのは稀な、少ないと言う意味です。デンドロと言うのは突起。突起が比較的少ないグリアという意味です。

  

視神経脊髄炎の攻撃対象:アストログリア

グリアというのは膠(にかわ)細胞と書き、神経細胞の間を埋めている細胞の意味でつけられました。
脳の中の神経細胞と神経細胞の間を埋める神経細胞ではない細胞。昔発見され時には訳がわからん、 間を埋めている、膠のように間を詰めている細胞だと考えられ命名されたのです。

実は、グリア細胞には数種類あるんです。
一番数が多いのはアストログリア細胞。これも何をしているのか解らなかったのですが最近では良く解ってきました。

神経細胞が栄養を血管から貰うときにこの細胞を伝わって受け渡しをするようなこと、あるいは水を受け渡す、電解質を受け渡す。 神経細胞が生きていくのを支える、どうしても必要な細胞。それがアストログリア細胞です。
アストロとは星、空の星をアストロと言いますね。宇宙戦艦大和の歌にもありますね、アストロのなんとかとか。星状のグリア細胞、突起の多い細胞です。

これに対し突起の少ない細胞がオリゴデンドログリアです。
これらが非常に重要な2種類のグリア細胞です。

多発性硬化症で攻撃されるのはオリゴデンドログリア細胞です。 もう一方視神経脊髄炎で攻撃されるのは、アストログリア細胞です。

どちらも神経細胞ではないグリア細胞が免疫の異常で攻撃されるのですが、グリア細胞の中の種類が違う細胞が攻撃されることで、 2種類の病気が起きる、それが基本的な違いだということが解ってきたんです。


視神経脊髄炎の標的分子:アクアポリン4水チャンネル

視神経脊髄炎の場合に攻撃されるものは、アストログリア細胞の突起の先端の細胞膜にあるにアクアポリン4水チャンネル分子が主な標的の分子であることがわかっています。

アクアポリンは水分子を細胞の内外に通すタンパク分子です。 アクアとは水、ポリンとは穴の意味で、細胞の膜にあるこの分子を通して、水が容易に細胞内外へ移動できるようになっています。
これを発見したアメリカ人化学者が2003年にノーベル賞をもらっています。

細胞によってアクアポリン分子の種類がいろいろありまして1番から16番くらいまですでに解っていますが、 そのなかの4番が神経のアストログリア細胞に特別に出てくる分子です。

この分子はアストログリア細胞の表面に一様に出ているのではなく、アストログリア細胞の突起が血管にくっついているところに集中的に存在しています。
この部分をとおして血管の中から効率よく水を吸い込んで、アストログリア細胞の中に蓄え、さらに神経細胞に水分を受け渡しする。 そういう水の通り道のチャンネルです。

視神経脊髄炎では、このアクアポリン4分子が攻撃される。 この分子はアストログリア細胞という細胞にしかほとんど存在しませんので、結果としてアストログリア細胞が破壊される。 それが病気を起こすということが解っています。


大阪の入野医院と京都民医連中央病院での多発性硬化症(MS)の専門医療