入野医院(大阪 難波駅5分)
多発性硬化症センター

<外来診察日>
火曜日・木曜日 終日
土曜日(月1回)午前 
詳しくはコチラ

京都民医連中央病院
神経内科(京都・JR円町駅5分)


<外来診察日>
月曜日 終日(初診のみ)
水曜日 終日
金曜日 午前
詳しくはコチラ



電話予約ください(直前でも可;以下の順で)
090−2287−1021(斎田)
075−468−8642(関西MSセンター事務局)

MSの治療

MS治療薬は世界で12種、日本では5種
早期治療開始の重要性の根拠
インターフェロンβ(アボネックス、ベタフェロン)
フィンゴリモド(イムセラ/ジレニア)
ナタリズマブ(タイサブリ)
グラチラマー酢酸塩(コパキソン)
国内で治験進行中のMS薬
「MS治療に伴う副作用」をどう考えたらよいのか
   

MS治療薬は世界で12種、日本では5種

1993年に最初に北米で承認され、2000年から日本でも使われているインターフェロン・ベータ1b、即ちベータフェロンがあります。隔日自己皮下注射投与です。

コパキソンは2015年11月26日に薬価収載され利用可能となりましたが、欧米に比べ約20年遅れての利用開始です。 毎日の自己皮下注射薬です。効果はインターフェロンと同等です。

1996年利用開始されたインターフェロンβ1a、アボネックスは、日本で2番目に使えるようになり、現在も利用されています。 週1回自己筋注薬です。効果はベタフェロンよりやや弱い可能性がありますが注射の回数を増やせば、負けません。 副作用や中和抗体による効果消失が少ない利点があります。

2004年利用開始されたナタリズマブ(タイサブリ)は日本での治験が終了し、2014年3月に承認がおり、5月から日本での使用が始まりました。月1回点滴薬です。

2010年に米国で利用開始となったフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)は翌年から日本でも使用可能となった、1日1回経口薬です。

結局、日本で利用可能な薬剤が2015年11月で5種類となりますが、海外で利用していて使えないものが7種類あります。 こうした内外ギャップはだんだん大きくなってきています。非常に大きな問題です。

フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)だけは日本の京都大学が開発して田辺三菱が特許を持っている薬でしたので、日本とアメリカとの差が約1年で済みました。 海外と日本で同時に治験ができた、最初の経口薬であったからでもあります。

しかし、その他のお薬は海外で成功して利用されるようになった後、日本にも持ってこようかなあという順番になりましても、最近ではだんだんに難しくなりつつあります。 理由は患者さんが多くない、現在多発性硬化症の有病率は日本では1万人に一人です。 欧米北部、オーストラリア南部の白人の世界ではその20倍で、非常に重要なだれでもが知っている病気です。
日本では普通の方はほとんど知らない病気ですね。日本では、マーケットが小さいため開発が難しい。 会社が開発にお金を投じても回収できないので、躊躇する傾向が一層つよくなり、大きな問題です。

これを克服するため、世界の治験に日本も同時に入り、日本人の参加をわずかでもよい、世界で有効性、安全性が示せれば、 後は、承認後に日本人での安全性のみの追加データを蓄積すれば良い。 次第にそう変わりつつあるのですが、市販後に有効性のデータの蓄積をも求め、多額の無駄なお金と労力をメーカー、医師、患者に要求している。 MSでは無意味であることを知るべきです。

早期治療開始の重要性の根拠

次に、初期治療がいかに重要かを示す根拠について話します。
インターフェロン・ベータ1b(ベタフェロン)が1990年にカナダとアメリカでMSでの治験が始まりまして、現時点で25年です。
この治験が始まった時から治療を受けた患者さん達が21年間経った時点でどうなっていたかということを調べた研究があります。 21年を経て、ほぼ全員がどんな状況であるかを、改めて調査した、大変に手間、時間、お金のかかった重要な研究です。

この治験に参加した患者さん達は、治験の2〜3年間、21年間のうちの最初の2〜3年間、3つのグループに別れたのですが、 その後は全員が本物のお薬、ベタフェロンがあたるようになり同様の治療を受けています。
第1グループは現在ベタフェロンとして使用している、有効な量の薬が当たった人たち、 第2グループは少ない量の、あまり効果の無かった薬が当たった人たち、第3グループは偽物(偽薬)が当たった人たちです。

結果として偽薬、にせ物があたった人は2年間、再発が多く、再発発生率に差があったことでベタフェロンが効くことが証明されました。
こうした治験に参加してくれた患者さん達のおかげで薬が使えるようになったのですね。 治験の後は、全員がほぼ同じような治療を19年間、合計21年間治療を受けました。
こうした3グループの人達が、21年後にどうなったかを調べて、大変ショッキングな結果がわかりました。

21年経った時点で、治験の2〜3年間どのグループに属していたかで死亡率に大きな差が認められたのです。
治験期間に偽薬、にせものが当たっていた人たちのMSによる死亡は、当時本物のベタフェロンが当たっていた人たちとくらべ、21年間で2倍でした。 MSによる死亡とは、寝たきりとなり尿カテーテルが留置され膀胱炎や腎盂炎になったり、呼吸嚥下障害から嚥下性肺炎を生じたりしたことによる死亡です。

こうした差は、21年間の治療の初期の2〜3年に薬が当たった人と、当たらなかった人との間であったという事実が重要と考えられます。
即ち、治療の初期に効果のある治療を受けることができたかどうか、わずか2〜3年間の差が、長期にわたり大きな差を生んだ。初期には治療効果が高いことを示しています。
即ち、MSは発病してからしばらくの初期には、非常に治療に反応しやすい時期があることが分かりました。 こうした時期を英語で“windows of therapeutic opportunity”、即ち「治療機会の窓(時期)」と言います。

過去には2、3年間例えばインターフェロン(ベタフェロン、アボネックス)を使って、再発があったり、何か問題があれば、効果の高い次の薬に切り替えると、こういう治療でした。 残念ながら、今でもそういう治療が普通の考え方です。
この古い考え方は正しくありません。安全でさえあれば出来るだけ強力な治療を早くからする方がいい。効果が高い時期は、比較的初期です。同じ治療を受けても、有効性に差が出ます。
自分は今の所歩行障害がないから、未だ治療をしなくてもいいんだろうという考えは、正しくないのです。 症状がはっきりと進行しだす前に効果の高い治療をしっかり受けることが大事だということ、最近の研究で明らかになっています。


大阪の入野医院と京都民医連中央病院での多発性硬化症(MS)の専門医療